各部門の審査員は提出された審査資料に不備不足、疑問点がないかを確認を行ったうえで、施設を訪問し審査を行います。
部門別審査の基本内容は施設が患者本位に設計されているか、すなわちプライバシーが保護されているか、安全か、組織、その責任者の明示、事故予防のための管理、緊急時や事故発生時の対応法についての書面マニュアルが存在するか、スタッフの教育、訓練の実施と記録があるかなどです。
医師部門では院長に決して高価な施設、医療器械を求めているのでなく、患者の不都合にならないようにしているか、人材の有効利用がなされているかを審査します。
医師履歴、診療体制、医師の前年度における教育、訓練(学会出席、発表)の実績、診療内容、治療成績についての定期的スタッフミーティングの開催頻度などについての確認があります。
診療体制では医師が1人の場合はバックアップ体制の有無、緊急時の体制、対応法(火事、地震など)、入院施設がない施設における紹介先病院との連携状況の確認があります。
紹介先病院の医師が治療法を熟知しているかについての確認もされます。
施設内の組織図を作成し職員の苦情処理の責任者が明確になっているかの確認もあります。
ISOの考えでは一人が全ての問題について責任をとるというシステムは是としていないのです。
施設見学では、待合室、受付、カルテ管理体制について審査され、診察室や看護師との面談室はプライバシーが保たれているかを中心に審査されます。
採卵室は救急体制、培養室との位置関係、採精室やカウンセリング室が適した場所にあるかが審査されます。
胚培養士部門では培養室における組織図をもとに、事故やトラブルが生じた時の連絡方法、責任者についての明示、安全管理(感染物質の取り扱いなど)、教育、訓練の実施状況(記録)について審査を行います。
検体を扱うときのダブルチェックの実施法、休日も同様にダブルチェックが可能か、incubator内の温度、ガス濃度のチェック法、遠隔アラームシステムの設備、凍結配偶子、胚の安全な管理保管法や停電時のバックアップ体制についても詳しくチェックされます。
ベテランの科学者、技師でも年数回は他のスタッフから技術チェックを受けていなければならないことになっています。培養室は、スタッフが快適に仕事ができ、かつ安全であるかを審査するのであって、決して高価な設備は要求されません。
看護師部門では看護師の仕事内容の手順書が存在するか、投薬などの記載がカルテに正確になされているか、患者プライバシーを守っているか、同意書の確認はなされているか、看護師の教育、訓練の実施記録、安全管理、救急器具、薬の管理についての確認があります。
看護師のCPR訓練は最低、年に一度実施することは必要とされます。
特にわが国の診療状況で、外来診察時などの患者のプライバシー保護が十分なされているかが審査されます。
医療事務部門では、法令規則、個人情報保護法の遵守、安全管理、各種記録について正確になされている必要があります。
医療事務責任者の経験、医療事務スタッフの資格・教育・定期的な研修が必要とされ、他部門、他施設との情報交換を行う機会があるかについても確認されます。
心理カウンセリング部門では、カウンセリングスタッフが常勤している必要はありませんが、カウンセリングが必要とされる場合は常に対応できるようにしておくことが必要であり、対応するカウンセラーについては、資格・経験・教育方法・定期的な研修が確認されます。
院内にカウンセリングルームの設置があることが必要とされ、その独立性、患者が治療中・治療後も利用しやすい状況であるかが重要視されます。
患者支援団体代表部門では患者目線で施設を審査します。
施設の動線や待合室、内診室、採精室のプライバシーへの配慮、施設スタッフの態度、時間外の緊急時の対応、会計明細書式などについて審査します。パンフレットや説明書、同意書の内容は、患者にわかりやすいものであることが重要で、かなり細かく確認します。