一般社団法人 JISART(日本生殖補助医療標準化機関、本部:大阪府大阪市、理事長:絹谷正之、以下「JISART」)は、2026年2月1日に開催される公益社団法人日本産科婦人科学会のシンポジウム『特定生殖補助医療に関する公開講座 ~出自を知る権利を巡って~』に際し、当団体が2003年の創設以来、20年以上にわたって積み上げてきた第三者配偶子提供(いわゆる精子提供・卵子提供)の歩みと、現在の生殖医療における過度な商業化への懸念を表明するとともに、当団体が20年以上にわたり構築してきた倫理的指針を公表いたします。
近年、体外受精や卵子凍結といった生殖補助医療技術は身近なものになりつつあります。2022年4月に開始された体外受精の公的医療保険の適用を経て、2024年には国内出生児の8人に1人が体外受精児であるなど、体外受精は「一般化」と呼べる領域まで近づいています。
しかし、この「一般化」の裏側で、看過できないリスクが浮き彫りになっています。特に第三者からの精子・卵子提供という選択肢のリスク対策は急速な普及に追いつかず、社会的に充分な対応がなされているとは言えません。私たちは、その原因は大きく以下2点だと考えています。
こうした「利便性」や「成功率」のみを強調する商業的な流れに対し、私たちJISARTは強い危機感を抱いています。
JISARTは、日本の生殖医療が大きな混乱の中にあった時代から、生殖医療領域における問題に正面から向き合い続けてきました。それは単に「妊娠率」のみを求めるものではなく、事故リスク排除、インフォームド・コンセント、スタッフの育成と労務環境など、生殖医療の現場に関わるあらゆる事象に及びます。
特にその中でも、JISARTが最も深く真剣に向き合い続けてきた問題の1つが、「第三者配偶子提供による体外受精」と、その「倫理」です。ご本人のみならず、新しく生まれてくる命とその人生、親子関係や家族関係、そして配偶子を提供する第三者など、多くの人生や価値観に関わる「第三者配偶子提供による生殖医療」は、決して簡単な問題ではなく、JISARTは「責任と倫理の20年」と言うべき期間を積み上げてまいりました。
第三者配偶子により技術的にお子様を授かれるようになったことは、現代科学・医学の1つの到達点であり、医学的に困難な患者様にとっての希望であると言えるでしょう。同時に、第三者配偶子でお子さんを授かることは「家族の在り方」を根本から問い直す行為でもあります。
個人の価値観は時代や状況により目まぐるしく変化します。第三者配偶子提供によりお子さんを授かることは、個人のみならず生まれてきた子どもや提供者の価値観にも関与します。そこで、JISARTでは第三者配偶子提供による体外受精を行う場合には、以下2つの対策を行なっています。
私たちJISARTのやり方だけが唯一の正解ではありません。一方で、私たちは20年間の軌跡を通じ、安易な提供や利用が将来の親子関係に及ぼす影響を誰よりも重く受け止めてきました。
未来の子どもたちの人権を守り、家族が永きにわたって幸福であるために。私たちは、ブームとしての生殖医療ではなく、誠実な「医療の質」を追求し続けるとともに、今回のシンポジウムを契機に、この問題や課題について国民全体で広く議論され、国民にとってよりよい仕組みが構築、整備されることを強く願うとともに、そのために今後もJISARTとしてできることをしっかり行って参ります。
JISARTでは、第三者配偶子提供による体外受精についての議論のため、2024年3月30日にオンラインセミナーを開催いたしました。こちらのセミナーでは、JISARTのこれまでの取り組みやルール、そして向き合ってきた問題点等をより詳しくお話しさせていただいております。ぜひご参考になさってください。
掲載:PR TIMES(2026年1月29日09時30分)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000138329.html