JISART、非配偶者間生殖医療を支える
専門カウンセラー実務研修を開催
治療前カウンセリングの標準化と質向上へ、
年2回の継続研修で専門人材を育成
掲載:PR TIMES(2026年8月18日 9時30分)
一般社団法人日本生殖補助医療標準化機関(JISART)は、2026年7月25日(土)・26日(日)、「第32回 非配偶者間体外受精に関わるカウンセラー実務研修」を開催しました。
本研修は、JISART施設のカウンセラー、JISARTフォローアップ部会相談員を対象に、非配偶者間生殖医療に関する専門的な知識と実務能力を継続的に高めることを目的として、年2回開催しているものです。今回は、「JISART非配偶者間生殖補助医療における治療前カウンセリングの標準化と内容のさらなる検討」を中心テーマに、実践的な検討と意見交換を行いました。
本研修で扱う非配偶者間生殖医療は、第三者から提供された精子または卵子を用いる生殖補助医療です。医学的な治療選択にとどまらず、提供を受ける方、提供する方とその家族、そして生まれる子どもの将来に関わる心理的・社会的・倫理的な課題を伴います。JISARTでは、当事者が十分に考え、納得したうえで意思決定できるよう支援する専門的なカウンセリングを、医療の質を支える重要な基盤と位置づけています。
非配偶者間生殖医療で、なぜカウンセリングが重要なのか
精子または卵子の提供による生殖補助医療は、医学的に妊娠が難しい夫婦に一つの選択肢をもたらす一方、治療を受ける夫婦だけでなく、提供者、その配偶者や家族、そして生まれる子どもの人生にも関わります。検査や治療手技を理解するだけでは、意思決定に必要な準備が十分とは限りません。
治療開始前には、医学的な内容に加え、次のようなテーマを具体的に考え、夫婦や関係者がそれぞれの気持ちと考えを確認することが重要です。
・精子・卵子提供を受けて親になることを、夫婦それぞれがどう受け止めているか
・遺伝的なつながりの有無を、家族の中でどのように理解していくか
・提供者と被提供者、双方の家族との関係をどのように築くか
・生まれる子どもへの告知と、出自を知る権利をどのように考えるか
・治療が不成功となった場合や、妊娠・出産後にどのような支援が必要か
カウンセリングは、治療を受けるよう勧めたり、特定の結論へ導いたりするものではありません。中立的な対話を通じて、当事者が迷いや不安を言葉にし、必要な情報を得ながら、自分たちの価値観に基づいて治療を受けるかどうかを判断できるよう支えるものです。
医学的説明・インフォームド・コンセントとは異なる「中立的な専門支援」
JISARTガイドラインでは、被提供者夫婦、提供者およびその配偶者(必要に応じて家族)が同意を行う前に、生殖補助医療の知識と、心理的・社会的事項に関する専門知識を持つカウンセラーによる、中立的な立場からのカウンセリングが適切に行われることを求めています。
医師による説明は、治療方法、身体的リスク、見込まれる経過などを医学的に理解するために欠かせません。一方、カウンセリングでは、「この治療を自分たちの人生や家族の中でどう位置づけるか」「将来、子どもとどのように対話するか」といった、答えが一つではない問題を丁寧に考えます。医学的説明とカウンセリングの双方を整えることで、当事者が疑問や迷いを率直に表現し、自律的に意思決定できる環境づくりにつながります。
「生まれる子どもの福祉」を治療前から考える
JISARTガイドラインは、基本方針の一つに「生まれた子等の福祉の確保」を掲げるとともに、「出自を知る権利の尊重」を明記しています。治療によって生まれる可能性のある子どもは、治療前の意思決定に自ら参加することができません。だからこそ、治療を始める前から、子どもの立場に立って将来を考えることが大切です。
出生の経緯をどのように伝えるか、子どもが自らの出自について知りたいと考えたときにどう向き合うか、家族としてどのように対話を重ねるか。これらは出産後に初めて考えるのではなく、治療前から夫婦で話し合い、必要な情報と支援につながっておくことが重要です。JISARTガイドラインは、子どもの出生後も、実施医療施設が被提供者のカウンセリングニーズに対応できる体制を整えることを求めています。
第32回研修で、治療前カウンセリングの標準化をさらに検討
今回の実務研修では、「JISART非配偶者間生殖補助医療の治療前カウンセリングの標準化と内容に関する更なる検討」を中心テーマに、施設間で支援の質を安定して確保するための共通基盤と、カウンセリングで扱う内容について検討しました。
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第32回 非配偶者間体外受精に関わるカウンセラー実務研修
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日時
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2026年7月25日(土)・26日(日)
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講師
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平山史朗先生(東京リプロダクティブカウンセリングセンター)
上野桂子先生(おおいた不妊・不育相談センター)
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対象
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JISART施設のカウンセラー、JISARTフォローアップ部会相談員
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主なテーマ
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JISART非配偶者間生殖補助医療の治療前カウンセリングの標準化と内容に関する更なる検討
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主なプログラム
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・倫理委員会が治療前カウンセリングに求めるもの
・治療前カウンセリングの標準化の検討
・姉妹間卵子提供による治療前カウンセリングの組み立てとチェックポイント
・兄弟間精子提供による治療前カウンセリングの組み立てとチェックポイント
・知人からの提供を考える
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年2回の継続研修で、専門性を更新し続ける
非配偶者間生殖医療を取り巻く社会環境や制度、家族に関する価値観は変化し続けています。カウンセラーには、医学・心理・社会の知識を更新するだけでなく、自らの実践を振り返り、複雑な状況に中立的に向き合う力が求められます。
JISARTは、「非配偶者間体外受精に関わるカウンセラー実務研修」を年2回開催し、今回で第32回を迎えました。単発の研修で終わらせず、継続的に学び合う場を設けることで、施設や担当者による支援のばらつきを減らし、JISART全体のカウンセリングの質向上を図っています。また、JISARTの認定審査では、心理カウンセリング部門について、必要なときに対応できる体制、カウンセラーの資格・経験・教育方法・定期的な研修、独立した相談環境、治療中・治療後も利用しやすい状況などを確認しています。研修と認定審査を両輪とすることで、専門人材の育成を各施設の継続的な品質管理につなげています。
治療は「出産」で終わらない-長期的なフォローアップ
JISARTは2012年、精子または卵子の提供による体外受精で子どもを授かった家族と、提供に協力した家族を継続的に支援するため、「フォローアップ部会」を設立しました。子どもの発達、親子・家族関係、告知、出自を知る権利、法律・制度などに関する相談に、必要に応じて専門家が連携して対応しています。
治療前カウンセリングで将来を見据え、治療後も必要なときに相談できること。JISARTは、この連続した支援こそが、非配偶者間生殖医療の質を支える重要な要素であると考えています。
今後の展望
JISARTは今後も、年2回の実務研修を通じてカウンセラーの知識と実践力を高め、治療前カウンセリングの標準化と内容の充実を進めてまいります。医学的な安全性や治療技術に加え、当事者の自律的な意思決定、生まれる子どもの福祉、提供者を含む関係者への長期的な支援を重視し、精子・卵子提供による生殖医療を安心して検討できる環境づくりと、生殖補助医療全体の質向上に取り組んでまいります。
執筆・編集
女性からだ情報局
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