2025年8月29日、NHKは「2023年、体外受精で出生した子どもが約8万5000人と過去最多を記録」と報じました(※NHK報道 2025年8月29日付)。
生殖補助医療(ART)は2022年の保険適用開始以降、社会的認知が高まり、治療を受ける患者数も増加の一途をたどっています。
一方で都市部を中心に生殖医療クリニックの新規開設が急増しており、十分な知識や経験を有しない施設も散見される状況です。生殖補助医療は保険診療において胚移植の回数制限等が設けられているため、限られた機会を無駄にしないためにも「信頼できる専門施設での治療選択」が極めて重要となります。
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、生殖補助医療の質を高め、最終的に患者満足の向上を目指して2003年に設立された団体です。全国29の専門施設が加盟し、3年ごとに施設審査を受けることで標準化された医療の質と患者サービスを担保しています。
2023年、JISART加盟施設で行われた治療周期数(体外受精・顕微受精・胚移植)は78,700周期で、日本全体(561,664周期)の14.0%を占めました。
また、同年にJISART加盟施設において生殖補助医療を経て出生した児は12,303人で、全国のART出生数(85,480人)の14.4%を占めています。
これらの数字は、患者に安心と信頼を提供できる体制の下で、多くのカップルの希望に寄り添ってきた結果といえます。
妊娠を望むカップルにとって、早い段階で専門家に相談することは非常に大切です。
JISART加盟施設では、品質管理システムと定期的な施設審査により、一定水準の医療とサービスが確保されています。
急増する一部の不妊クリニックでは、十分な臨床経験を持たないケースもあり、患者自身の貴重な時間や妊娠の可能性を損なうリスクがあります。
将来の家族のかたちを考える第一歩として、「医療の質と信頼性を担保する施設で治療を受ける」ことを、ぜひ多くのカップルに知っていただきたいと考えています。
JISARTは今後も、患者の安心・安全を最優先に、生殖補助医療の標準化と質向上に取り組みます。
「不妊治療といえばJISART」という認知を社会に広めることで、より多くの方が安心して治療を受けられる環境づくりを進めてまいります。
【団体概要】
団体名:JISART(日本生殖補助医療標準化機関)
加盟施設数:29施設
設立目的:生殖補助医療における品質管理システムの導入と患者満足の向上
公式サイト: https://jisart.jp/